毒舌法医学者が死亡解剖を推し進める理由とは?「ヒポクラテスの誓い/中山七里」
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今回は祥伝社出版、中山七里さんの「ヒポクラテスの誓い」です☆
【本日の内容】
ラベル
-ジャンル
-発行年月日
-ページ数、読了時間
読むきっかけ
痺れたセリフ
-場面
-キャラ
-セリフ
内容
-第一章
-第二章
-第三章
-第四章
-第五章
-感想
-今回の言葉メモ
「ヒポクラテスの誓い」のラベル
ジャンル
小説、医療、法医学ミステリー
発行年月日
初版:2016年6月15日
ページ数、読了時間
378ページ(文庫版)、5時間で読了
「ヒポクラテスの誓い」の読むきっかけ
前に読んだ中山七里さんの「連続殺人鬼カエル男」が面白かったので、ヒポクラテスの誓いを手に取りました。
「ヒポクラテスの誓い」の痺れたセリフ
場面
教授の光崎に研修は何科を回っているのかを聞かれ、素直に答えるも、半人前のくせに選り好みするなと言われ、カチンときた研修医の真琴。
つい言い返してしまった真琴に、光崎が言い放ちます!
キャラ
光崎藤次郎
セリフ
「医者が病気を選ぶのではない。病気が医者を選ぶのだ。」
「ヒポクラテスの誓い」の内容
第一章
相関図
栂野真琴:研修医、解剖に興味なし
キャシー・ぺンドルト:法医学教室准教授、光崎に憧れ来日
津久場:内科教授、臨床研修長
光崎藤次郎:浦和医大法医学教室教授、ぶっきらぼうな解剖医
国木田:検視官
古手川:埼玉県警巡査部長、解剖重視
渡瀬:警部、班長
峰岸透:被害者、建築会社社長
瀬川林蔵:峰岸の同級生、農家
宇都宮俊夫:峰岸の同級生、峰岸の部下
あらすじ
「あなた、死体はお好き?」
挨拶もせず尋ねられ、困惑する研修医の栂野真琴。
法医学教室准教授のキャシー・ぺンドルトとの出会いは衝撃でした。
「生きている者も死んでいる者も分け隔てなく同じ患者なのです」
生きている患者に尽くすのが医者の仕事。そう考える真琴にヒポクラテスの誓いを見せるキャシー。
「医者が病気を選ぶのではない。病気が医者を選ぶのだ。」
訴訟リスクや激務で志望する学生や医師が減少する外科や産婦人科、地方勤務。
現代の医療現場が抱える問題に対する認識が異なる光崎と真琴。
寒空の下で凍死した男性の遺体。
一見、凍死にしか見えないご遺体に感じた光崎の違和感とは?
進む剖検、明らかになる事実、芸術的ともいえる解剖に惚れ込む真琴。
「成仏できないガイ者の恨み辛みを忘れちゃいけない」
刑事や法医学者の想いに触れる真琴。死亡解剖の意義に気付いていく。
「裕福な人間は無自覚なんだよ」
本人たちの知らないところで逆恨みされていのが人間の性なのか。
第二章
相関図
篠田凪沙:雄作の娘、9歳、法医学教室に依頼の電話をかける
篠田雄作:加害者、塾講師、栗田益美を車で撥ねる
篠田真紀:雄作の妻、夫が人を撥ねた事実を受け入れることができない
栗田益美:被害者、家事手伝い、結婚を控えていた
栗田洋子:益美の母、解剖を拒絶
栗田修平:益美の父、解剖を拒絶
多田井:大宮東署交通課、今事件の担当
郷田:検察医
あらすじ
「あの、そこは解剖してくれるところですか?」
9歳の少女からの電話、父が女性を轢いたことが信じられない様子、キャシーにも促され渋々事実確認をすることに。
妹を酒気帯び運転のクルマに撥ねられ亡くした男が危険運転で人を撥ねるのか。
加害者の無実を晴らしたい家族はすがる想いで解剖を依頼。
「二度も娘を殺されたくないのですよ」
娘を思い遣る遺族、解剖によって切り刻まれたくない。解剖後の遺体の取り扱いに不信感もあり解剖を渋る。また解剖費の一部を遺族が支払うことにも不満。
「それだけで充分じゃないか。人が人を信用する理由なんて」
娘の死亡解剖を渋る両親に嘘をついてでも死亡解剖に回した古手川。光崎の言葉を信じ、解剖が真実につながると確信して。
「法医学は生きている者も救うことができる」
解剖は死因を明らかにするだけではない。真実がわかることで救われる人たちがいる。
第三章
相関図
真山慎司:競艇選手、レース中の事故で死亡
真山公美:慎司の妻
真山圭太:慎司の息子
剣持達見:東京都監察医務院監察医
堀内:大森署刑事課
あらすじ
「とにかく回答は死体が知っています」
競艇選手がレース中に事故死。金のもつれも痴情のうわさもなし。
しかし、光崎は死体検案調書と解剖報告書を見ると、すぐに検分してこいと命じます。
あまりに記載事項が少ない死体検案調書と解剖報告書は何を意味するのか。
「監察医は解剖を行っていないー」
遺体を検分すると、切開の痕も縫合の痕もない。
監察医は解剖もせずに解剖報告書を出したのか。
「生体だろうが死体だろうが、メスを入れるべき時に入れない医者など医者ではない」
あくまで行政解剖は協力なのだから、必要ないと判断すれば問題ないと開き直る剣持。
解剖を軽んじる剣持にかつての自分を重ね合わせる真琴。
事故か自殺か。単に事実を追い求めるのが正しいのか。遺族への配慮は必要なのか。
「人を裁くのは何も法律だけとは限らんからな」
第四章
相関図
柏木裕子:真琴の高校のクラスメート、肺炎の容態が急変して死亡
柏木寿美礼:母、裕子の看病に明け暮れる
栂野仁美:真琴の母
あらすじ
柏木裕子はマイコプラズマ肺炎。自宅療養中。なかなか回復がみられない。母子家庭のため長期入院もできず。そのため、真琴が定期的に様子を見に行く日が続く。
そんな中、裕子の容態が急変し緊急搬送。そして息を引き取るー。
友人の死を受け止めきれない真琴の前で、光崎は解剖をすると宣言。
激昂する真琴に光崎は
「人の心は嘘を吐く。だが学問によって解明された真理は嘘を吐かん」
ヒポクラテスの末裔として友人の解剖を拒否することは間違っているのか。感情と論理に悩む研修医。
「税金と結婚相手の理想なんて低ければ低いほど楽なのよ」
「死んだ本人の遺志を尊重するのなら、それはやっぱり解剖してでも真相を明らかにしたいじゃない」
タイミングよくかかってきた電話の相手は母。親子特有の気兼ねない会話や母親ならではの着眼点にハッとさせられる真琴。
意を決して寿美礼のもとに行き、解剖を打診するも断られる。
寿美礼は薬を減らし、裕子に運動させず、意図的に肺炎を悪化させた?
そこでキャシーから示された1つの可能性、代理ミュンヒハウゼン症候群。
第五章
相関図
倉本紗雪:腹膜炎が悪化して死亡、真琴の最初の担当患者
須見理恵子:内科看護師
栗栖:埼玉県警捜査一課長、警視
あらすじ
虫垂炎からの腹膜炎で再度入院となった紗雪が亡くなった。真琴の最初の担当患者だった。
法医学教室の一員として死因を突き止めたい。患者の最後の声を救い上げたい。
「まるで光崎先生みたいです」
紗雪の血液検査の結果を確かめるべく、カルテを探すも見つからず。データも何者かに消されている。
紗雪の遺体から採血し、分析してみると1つだけ異常値を示す項目が。
rt-PA、プラスミノーゲン・アクチベーター。血栓のフィブリンを溶解する成分。
「自信というのは自分に対する過大評価だ」
光崎を動かうものは自信ではなく、信念。感情ではなく論理で真実を見つけ出すために解剖を行う。
血栓溶解剤を投与したのは誰かー。
その目的とはー。
感想
ご遺体にメスを入れるのはかわいそうなことなのか。海外と比べると、日本ではまだまだ抵抗があるようで、自分に置き換えて考えてみても確かに嫌かもと思いながら読み進めました。
ただ、小説のように真実が隠されているかもしれないとなると解剖すべきだなと思ったり。
第二章で登場したAI(死亡時画像診断)は、海堂尊さんの小説でも出てきましたね。
AI(死亡時画像診断) が当たり前になる日は来るのでしょうか?
今回の言葉メモ
老獪
経験を積んでいて、悪賢いこと。世慣れてずる賢いこと。また、そのさま。 (コトバンクより)
驕慢
おごり高ぶって人を見下し、勝手なことをすること。また、そのさま。(コトバンクより)
狷介
自分の意志をかたく守って、他と妥協しないこと。人と相いれないこと。また、そのさま。(コトバンクより)
敬虔
うやまいつつしむこと。特に、神仏に深く帰依してうやまいつかえること。また、そのさま。(コトバンクより)
小人閑居して不善をなす
徳のない、品性の卑しい人は暇であるととかく良くないことをする。(コトバンクより)
切歯扼腕
歯ぎしりをし腕をにぎりしめること。激しく怒ったりくやしがったりする様子にいう。(コトバンクより)
錦の御旗
他に対して自己の主張などを権威づけるものとしてかかげる名分。(コトバンクより)
気になった方はぜひお手に取ってみてください☆