後援会会長の垣内達夫によると、藤堂康幸は製造業や技術職が軽視され、証券マンや商社マンがもてはやされていることを危惧していたそう。
また藤堂は中高と柔道をやっており大学からは登山が趣味だった、卒業後は高校で教師をしていた、江利子夫人とは教師時代に知り合った、しかし教師時代の話はあまりしたがらなかった、などの話は聞けたものの収穫と呼べるものはなし。

事情聴取の帰り道に山尾から「藤堂康幸氏の教師時代が気になりますか」と問われ戸惑う五代。
電車でこのことを思い返すと、山尾は五代の手帳の「教師時代？」というメモを見て聞いてきたのでは？という疑念が。

立ち位置的に山尾が五代の横、あるいは斜め後ろになると思うのでメモが見えてもそんなに不思議ではないのでは？

読書栄養士

5節

登場人物

五代努：警視庁本部、巡査部長
山尾：生活安全課の警部補、五代の相棒
藤堂江利子：被害者、康幸の妻、元女優、芸名双葉江利子
本庄雅美：藤堂江利子の友人
榎並香織：藤堂夫妻の一人娘、妊娠中
藤堂康幸：被害者、区議会議員→都議会議員
筒井：警部補、五代の上司

あらすじ

五代と山尾は藤堂江利子の友人、本庄雅美の家を訪れます。
児童養護施設『春の実学園』のこと、江利子との芸能界時代の話、江利子の両親が航空機事故でなくなったこと、江利子の高校時代の話、そこまで収穫のある話は聞けなかった、と思いきや、本庄は犯行前の14日午後11時過ぎに電話をしていたことが判明します。
しかし、電話の内容は妊娠中の江利子の娘、榎並香織の出生前診断のことを話したくらいとのこと。
すると、雅美は思いついたように、「最近のエリのことなら、彼女に訊いてもらったほうがいいかもしれません」と、珈琲を持ってきてくれた女性、今西美咲を紹介します。
美咲は東都百貨店の外商員をしているとのこと。
美咲によると、江利子に頼まれたのは車や江利子の主人、藤堂康幸が普段使っているタブレットのバックとのこと。
山尾が確認するもどうやらタブレットは焼け跡から見つかっていない様子。
その他に江利子に頼まれたものは江利子の趣味であるオートクチュール刺繡に必要な材料だそう。ブローチや指輪を作っては親しい友人知人にプレゼントしていたようです。

タブレットの行方が捜査のカギになると考えていた五代に筒井から連絡が入ります。
「犯行声明文が届いた」

捜査が難航するかと思いきや犯人側から接触！？

読書栄養士

6節

登場人物

桜川：係長、五代の上司
五代努：警視庁本部、巡査部長
筒井：警部補、五代の上司
藤堂康幸：被害者、区議会議員→都議会議員
藤堂江利子：被害者、康幸の妻、元女優、芸名双葉江利子

あらすじ

「犯人は私だ。動機は世間を欺いていた二人に天誅を下したまで。藤堂夫妻の非人道的行為の証拠を公表されたくなければ三億円で証拠を買い取れ」

桜井が中心となって捜査会議が開かれます。
藤堂議員の事務所には犯行声明だけでなく、犯行現場の見取り図まで同封されており、捜査員の意見は悪戯ではなく犯人からのものだろうと。
しかし、五代は無理心中を装ったのに犯行声明を出しては意味がないのでは？と指摘。
そこで筒井は二段構えだったのでは？との考えを示します。
偽装が成功し、無理心中として片付けもらえれば万々歳。偽装工作が失敗に終われば次善の作として犯行声明を準備していたのではないか。
五代は納得いかない様子も議題は非人道的行為についてに移ります。
事務所では心当たりがないとの答え。警察としては鵜呑みにするわけにもいかず捜査を進めるもある刑事から事務所は今後の対応をどうするのか質問が挙がります。
桜井もそこが問題としており、藤堂夫妻が亡くなり答えを出せる人間がいないため警察に対応は一任されるだろうと考えています。
三億円を渡すのか、渡さずに犯人の出方を見るのか。
議論した結果、後者の対応をすることに。

夫妻が同時に亡くなると、確かに答えを出すというかわからない部分がたくさん出てきそうと変なところを納得。

読書栄養士

架空犯

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東野圭吾幻冬舎 2024年11月01日